耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
子猫のように丸い瞳で怜を見上げている美寧を、無言で見つめ返す。怜の半歩分離れたところ彼女の膨らんだ頬は、うっすらと赤く色づいていた。
小さな唇は熟れた果実のように怜を甘く誘う。
吸い寄せられるように顔を近付けた。
途端、美寧はピクリと明らかに肩を跳ね上げた後、体を一歩後退させた。
「ミネ?」
「あっ……えっと…、うん、分かってるよ。大丈夫。出る時は帽子も日傘も水筒も持って出るし、戸締りもします。暑いし迷子になるほど遠くにも行かないから。」
何かを誤魔化すように早口に説明し出した美寧に、「もう出ないと遅れちゃうよ?」と追い立てられるように怜は家を出たのだった。