耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

今まで怜が付き合ってきた女性たちは、得てして皆自分と同類だった。

程よい距離感。相手を尊重した上で、束縛しすぎず干渉しすぎない自由な付き合い。
それはまさに“大人の付き合い”だった。

怜も自分なりにその時の相手を大事にしてきたつもりではあったが、こんな風に自分のテリトリーの中に完全に入れ込んでしまうのは、美寧が初めてのこと。

その証拠に、怜は自分の自宅で手料理を恋人に振る舞ったことは無いし、もっと言うと、自宅に呼んだことも無かった。
きっとあの家は自分にとっての聖域で、本当に気の置けない相手にしか入って欲しくない場所なのだ。

けれど、そんな怜の懐に気付いたら美寧がいた。
美寧と暮らし始めてしばらく経ったある日、唐突にそのことに気付いた怜は、軽く戸惑った。

なんの違和感も無く、まるでそれまで一緒に暮らしていたかのように馴染んでしまった美寧との生活。
当時は美寧の体調が思わしくなかったこともあって、何くれとなく彼女の世話を焼いているうちに、二人暮らしが当たり前のようになっていた。



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