耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「必要に迫られて覚えただけです。小学生の時に両親を亡くしてから、祖父母の家で家事を手伝いながら暮らしていましたから。」
「……そうだったんですか……なんか、すみません、俺余計なことを……」
「いいえ、気にしないで下さい。」
怜がそう言ったものの、竹下は気まずげに視線を彷徨わせながら黙々と弁当を口にしている。
(せっかくの恋人の手作り弁当が、それじゃあ美味しくないでしょう。)
きっとその可愛らしい弁当を味わうことが出来ていないだろう彼の為に、怜は普段なら口にすることのない質問を投げかけた。
「竹下君の恋人は年下ですか?」
「えっ?」
竹下の顔にはありありと『まさか“あの”藤波准教授がそんな質問をするとは思っても見なかった』と書いてある。
「そのお弁当の作り主は、きっと可愛らしい女性なのでしょうね。」
「……はい。」
うっすらと頬を染め、竹下は頷いた。