耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
これまでの相手とはそんなことを気にしたことも無かった。
大体は相手の方から『○○へ行きたい』だとか『次はいつ会える?』と連絡が来ていたので、そうする必要が無かった。というよりも、怜が自分の方から相手に求めるより先に、相手が怜を求めていた。
だけど美寧は違う。
怜に遠慮しているのか、意外とマイペースなのか、『○○が欲しい』『○○して欲しい』と言うのを聞いたことがない。
それは、怜が彼女の気持ちを察し、先回りして希望を叶えてしまうせいもある。
けれど怜はもっと美寧に我がままを言って欲しい。心から怜に甘えて欲しいのだ。
「俺の子猫は思ったよりも頑固だからな」
ひとりごちた怜の視界に、我が家の玄関先が見えた。
我が家の玄関前まで辿り着いた怜は、鍵を開け、年季の入った扉をゆっくりと横に滑らせた。