耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
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「んっ、おいし!」
ロコモコ丼のハンバーグを口に入れる。作り置きを電子レンジで温めただけだとは思えないほど柔らかく、しっかり飴色になるまで炒めた玉ねぎの甘みとお肉の旨みが口の中いっぱいに広がった。
今日のようにアルバイトが休みの時、家に一人の美寧が昼食をとるのに困らないようにと、怜はお昼ご飯を準備して行ってくれている。
最初の頃『残り物で大丈夫』と言う美寧に、『どうせ自分の弁当を作るから』と言ってくれた怜に、今でも甘えたままだ。
「目玉焼きくらい、自分で出来るのに……」
怜とマスターのおかげで、最近は少しだけ料理らしいことも出来るようになってきた。
ロコモコ丼とは別皿に用意された目玉焼きは、ちゃんと半熟で、『レンジで温めた丼の上に乗せてください』とご丁寧な解説のメモまでつけられていた。
ご飯とレタスとハンバーグを、器用に箸の先に乗せると美寧はそれを大きな口で頬張る。
「ほいひいっ!」
誰も見ていないことを良いことに、美寧は頬を膨らませたリスのような顔で、感激の声を上げた。
昼食を済ませた美寧は、満たされたお腹を休ませるべくソファーの背に体を預け、ゆったりと寛いでいた。
(れいちゃんも、もうお昼食べたかなぁ。)
壁に掛けてある時計の針は、一時を示している。
ここのところ怜は毎日遅くまで仕事をしている。帰宅も遅いが、帰って来てからも自室で仕事をしているようだ。
(私には『早く寝た方がいい』っていうのに、自分は遅くまで起きているんだよね…)
その上朝は美寧よりも早く起きていて、美寧が起きてくる頃には朝食も昼食兼弁当の準備まで終わっているから、怜はいったいいつ寝ているのだろうと思う。
美寧も前よりは家事の手伝いが出来るようになったので、積極的に皿洗いや洗濯などを引き受けるようにはしている。それでもやっぱり家の中の殆どを、怜がやっているのは変わりなかった。