耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
(色々と甘えてばかりなのは良くないよね……)
はぁ、と大きなため息をつく。
美寧は何故自分がこんなにモヤモヤとしているのか分からない。けれど、なんとなく今の自分じゃダメなような気がするのだ。
もっと、なんでも出来る大人になりたい。
年齢だけなら成人している自分は大人の部類に入るだろう。けれど自分に出来ることがものすごく少ないことを知ってしまった今、美寧の中にこれまでなかった“焦り”が生まれていた。
(私がもし、ユズキ先生みたいな大人の女性だったら違ったのかなぁ……)
“大人の女性”の代表格のような、ユズキの姿が思い浮かぶ。
医師という仕事を持った彼女は、自信から生まれる美しさがある。同性の自分から見ても、ユズキはとても魅力的で、怜と並ぶのに遜色なくお似合いだ。
(れいちゃんも、ユズキ先生には気楽な感じだもんね……)
怜がユズキに砕けた口調で話すのを初めて聞いた時、美寧はなぜか軽いショックを受けた。丁寧口調が彼のスタンダードではない、ということ驚いたのだ。