耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「ありがとう。」
怜の腕の中で美寧は目を見開いた。
叱られこそすれ、礼を言われるなんて思ってもみなかった。
「俺の為に頑張ってくれて、ありがとう、ミネ。」
包み込むように背中に回された怜の腕に、少しだけ力が込められるのを感じる。
その瞬間、美寧の双眸から大粒の涙がポロポロとこぼれ出した。
「う″っ…で、でも……ダメだったっ…れいちゃんに、迷惑ばっかりかけてっ…」
腕の中でしゃくり上げながら泣く美寧の背中を、怜はそっと撫でる。
「迷惑なんて何もありませんよ、ミネ。」
落ち着いた低すぎない声が、美寧の耳に優しく届く。
「ミネが俺の為にしてくれたことに、迷惑なんてあるはずない。」
はっきりと言いきった力強い声色に、目に涙を湛えたままの美寧が顔を上げると、真剣な瞳とぶつかった。