耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
どれくらいの間そうしていただろう。
瞳を閉じたまま怜の温もりにうっとりとしていた美寧の頭の上から「はぁ~」と小さなため息が降ってきた。
「……れいちゃん?」
怜の胸から顔を上げると、なぜか彼は眉間に皺を寄せて天井を仰いでいる。
なにやら困っている様子の彼を、美寧は小首を傾げてじっと見上げた。
「……困った子猫だ」
怜が口の中だけで言った呟きを聞き取ることが出来ず、美寧はまた首を傾げる。そんな彼女に怜は微苦笑を浮かべた。
「れいちゃん?」
呼びかける美寧の額に羽のような口づけを落とすと、怜はゆっくりと立ち上がった。
「一緒に夕飯を作ってくれませんか?ミネ」
差し出された手に、美寧は大きな瞳をパチリと一度瞬かせ、大きな笑顔を浮かべた。
「うん!」
大きな手のひらの上に白く小さな手を重ねると、ぎゅっと力強く握りしめられた。