耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
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四十分後。美寧はダイニングテーブルに並んだ料理に目を輝かせた。
「すごいっ!」
短時間で次々と料理を仕上げていく怜を、美寧はすぐ隣で見ていた。
美寧が大失敗した肉じゃがは、怜の手によってあっという間にまったく別のものへと変貌を遂げた。
「な…なにこれっ!」
一口食べた後、美寧は目を丸くして驚きの声を上げる。
鼻に抜けるスパイスの香りは深みがあるけど爽やかで、舌がピリリとする刺激に驚くが、程よい辛さが、かえってクセになりそうだ。
美寧の失敗で着いてしまった焦げた匂いと味すら、見事にスパイスの一部のようになっていた。
スパイスが効いているからと言って味がしないわけではない。
スープには野菜の甘みがあるし、夏野菜は大きくカットされているから食べごたえもある。
一口目以降スプーンを持ったまた止まっている美寧の顔を、怜は覗き込んだ。
「お口に合いませんでしたか?」
「ううんっ!すっごく美味しい!!」
「良かった。」
「どうして!?なんで!?あんなに焦げ焦げだった肉じゃがとは思えない!」
興奮して捲し立てる美寧に、怜は微笑む。