耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
色素の薄い茶色い瞳の奥をキラキラと輝かせて、再びスープカレーを頬張った美寧は笑顔になる。
「やっぱりおいしい!」
「ありがとうございます。」
「ううん。こちらこそありがとう、れいちゃん。私の失敗作を捨てずにこんなに美味しいものにしてくれて。」
「俺の為を想ってミネが作ってくれたものを捨てるなんて有り得ません。それにミネが手伝ってくれたので、いつもより早く出来ました。ありがとうございます。」
「お礼なんて…私は横で見ていただけだもん。しかもご飯を炊くのを忘れてたし……」
夕飯が肉じゃがの予定だったのに、美寧はお米を炊くことをすっかり失念していた。
そのことに気付いた美寧が半泣きになりそうになると、怜が「カレーなのでせっかくだから」と手作りでナンを作ってくれた。
「簡易バージョンですみませんが…」と言いながら小麦粉と数種類の材料を捏ねてフライパンで焼き上げたそれは、どこからどう見ても“ナン”だ。
一口大にちぎったナンをスープカレーに浸してから口に入れる。
簡易バージョンだと怜は言ったが、十分すぎるほど美味しい。
「ナンも美味しいよ。れいちゃんの作るご飯はやっぱり全部美味しい。」
そう言ってから美寧は、スプーンに乗ったじゃがいもをパクリと食べた。