耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

夕飯の後、使った食器片付ける。美寧は洗い物を買って出た。
慎重な手つきで食器を洗っている美寧の隣で、怜が何やら(くだん)の鍋を取り出してきた。

「お鍋、ごめんね……」

鍋の中の焦げて貼り付いた具材はざっと落とされているが、底は見事に真っ黒だ。雪平鍋というアルミ製のもので、焦げに弱いのだ。それを使ったのが失敗の一因でもある。

美寧が俯いてしょんぼりと肩を落とすと、怜が長い腕をこちらに伸ばしてきた。
ポンポンと軽く頭を撫でられる。

「もうそんなに気にしないでください。失敗は誰にでもあることですよ?」

「……れいちゃんにも?」

斜めに仰ぐように怜の顔を覗き込む美寧に、怜は微苦笑を浮かべ、「もちろんです」と口にする。

「そうなんだ…」

「はい。大事なのはチャレンジすること。そして失敗は次に活かすこと。ですよ、ミネ。」

「うん、そうだね。ありがとう、れいちゃん。」
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