耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「ミネが待っていると思うと、大学での仕事を終わらせて早く帰りたいと思うし、疲れて帰って来た時、ミネの顔を見るだけで癒される。ミネが俺の作ったものを何でも美味しいと食べてくれるから、料理がもっと好きになった。」
怜は美寧の手に重ねたのとは逆の手で、彼女の手をすくい上げると、両手で包み込むように持ち上げる。そしてそっと小さな手の甲に口づけを落とす。そしてゆっくりと視線を上げ、長い睫毛の向こうから美寧を見つめた。
「だからミネ―――ここに居て欲しい。」
美寧の胸の奥が熱くなって、大きな瞳からポロポロと雫がこぼれ出した。
「……っ」
言葉を返したいのに、小刻みに震える唇からは息を吸う音しか出ない。
そんな美寧を怜は宥めるように、そっと抱き寄せる。
「焦らなくて大丈夫。ミネは今でもちゃんと出来ています。これからもっと出来ることは増えます。ミネは頑張り屋ですから。」
柔らかな声でそう諭される。背中に当てられた大きな手がトントントンと美寧をあやすように優しく叩かれた。
自分よりも少し高い体温に包まれて、美寧は涙に濡れた頬を怜の胸に着けると彼の鼓動が耳に届いた。