耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
体の力を抜く。
規則正しいリズムに身を預けているうちに、だんだんと美寧は落ち着きを取り戻してきた。
「ありがとう、れいちゃん。」
まだ赤く潤む瞳で怜を見上げる。
「さっきは変なこと言ってごめんなさい。でも私、やっぱりお料理が作れるようになりたい。そしたら少しはれいちゃんの役に立てるのに……」
「ミネ…」
怜が何かを言おうと口を開いた、と同時に、美寧は瞳を大きく輝かせた。
「そうだっ!マスターにお料理を教えて貰えるか聞いてみる!」
名案を思い付いたと、美寧は笑顔になる。
けれど、それは怜の低い声によってすぐに打ち消された。
「ダメです。」
「え……?」
「ラプワールのマスターに教わるのはダメです、ミネ。」
「ど、どうして……?」
アルバイト中にマスターの手が空いている時に賄い作りでも教わろと思ったのだ。マスターはコーヒーだけでなく料理もとても上手なのだ。それは怜だって知っているはずなのに―――。