耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
怜の真意を知りたくて、じっと彼を見つめる。すると、怜はその視線から逃げるように顔を逸らした。それから少し視線を彷徨わせた後、不意に口を開いた。
「俺が教える。」
「え?」
「料理は俺が教えます。」
怜は横を向いたまま、チラリとこちらを見た。
流し目の色っぽさに、美寧の心臓がドキンと跳ねる。
「で、でも…」
ただでさえ忙しい今の怜に、美寧に料理を教えている時間があるとは思えない。
忙しい怜を少しでも楽にしたくて、夕飯を作ってあげたいと思ったのだけど―――。
「朝、今より少しだけ早く起きられますか?」
「朝?」
「確かに今は忙しい時期で大学も休めませんが、授業はないので朝は少しゆっくり出る分には問題ありません。まずは一緒に弁当を作るところから始めませんか?」
「お弁当を?」
「はい。もちろんミネのアルバイトが無い日だけで構いません。」
「起きられるかなぁ……」
「眠たい時は無理しなくて大丈夫ですよ?」
「………やってみる。」
「本当ですか?」
「うん!」
美寧の返事に、怜は目元を和らげる。そして美寧に回していた腕をゆるりと解いた。