耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「俺たち三人は専門も性格も皆バラバラですが、なぜか気が合って良く一緒にいましたから。家で飲むときは俺がツマミを用意することが多かっただけですよ。」
「そうだったんだ……。じゃあ、他の女の人には?」
掴んだままの怜の袖をギュッと握りしめる。美寧はそのまま怜を見上げた。
「寄ってきた女性達には、ご飯…作ってあげた?」
丸いビー玉のような瞳が、怜をじぃっと見上げてくる。透き通った瞳は無垢な子猫のようだ。
「作っていません。」
「本当?」
「ええ、本当です。」
怜がはっきりと言い切ると、美寧はそれまで瞬きすら忘れて見開いていた大きな瞳を、ゆっくりと緩めた。
「そっかぁ」
いつのまにか力が入っていた肩が、ストンと落ちる。
もう一度確かめるように小さく「そっかぁ」と口にした後、照れ隠しのように「えへへ」と笑った。
ホッとした途端、怜の袖を強く握っていたことに気付き、慌てて手を離した。握っていたところが皺になっているのが目に入る。
「ぅわっ、やだ、しわしわっ!ごめんなさ」
引っ込めようとした手を、すばやく捕まえられた。
「気になりましたか?」
「えっ?」
「俺が他の女性に料理を作ったかどうか。」
手を掴まれたまま低い声で問われ、コクンと頷く。
「どうしてですか?」
どうしてだろう。自分でも良く分からない。
怜の問いに返事が出来ずに美寧は口をつぐんだ。