耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
この数日間、美寧は自分がいったい何にモヤモヤしていたのか、いまだに良く分かっていない。

(どうして私はあんなにユズキ先生の言葉が気になったんだろう……)

(れいちゃんが他の女性(ひと)にご飯を作ったことがあっても、別にいいんじゃないかな……)

「ミネ?」

眉間に皺を寄せて黙りこくってしまった美寧に、怜は微苦笑を浮かべた。

「困らせてしまったみたいですね。」

怜の手が美寧の頭を軽く撫でる。それでも美寧の眉間は固く、思案顔のままだ。

ふわり、美寧の額に柔らかなものが触れた。
ハッとして顔を上げると、すぐ目の前に怜の顔があった。

「困った顔も可愛いけど、そんなに悩ませてしまってすみません。」

「れいちゃん……」

「もしかしたらミネがヤキモチを妬いてくれたのかと、期待してしまいました。」

「ヤキモチ……?」

「ええ。俺が他の女性に手料理を振る舞ったと思って、ヤキモチを妬いてくれたのかと。」

(れいちゃんが、ほかのひとに手料理を作ったことに、ヤキモチを………)

怜の言ったことを頭の中で反芻する。
そうすることで最初は分からなかった怜の言葉の意味が、じわじわと美寧の中に浸透して来た。
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