耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
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家の近くの月極め駐車場に停めてある怜の車に乗り込み、移動すること三十分。着いたのは小高い丘の上の霊園だ。
「こっちです」
車から降りると、トランクに積んでおいた掃除道具の入った鞄を手に、怜は歩き出す。新聞紙に包まれた花を両手で大事そうに抱えた美寧は、その後を着いて行く。
そんなに広くはない霊園の端に、藤波家の墓はあった。
「ご無沙汰して申し訳ありません」
【藤波家】と書かれた墓石に向かって手を合わせそう口にすると、怜はもって来た掃除道具で墓を清め始めた。
「ご無沙汰して」と言っていた割に墓は汚れてはいない。
枯れた花やゴミは無かったが、まわりに少し草が生えていて、美寧は手に持っていた花を脇に置くと、しゃがみ込んでその草をむしり始めた。
「ミネ、あなたは待っていてくれたら良いのですよ?」
「ううん、せっかく一緒に来たんだもん。私にもやらせて?」
「良いのですか?」
「もちろん!」
「ありがとうございます、ミネ」