耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「両親を亡くした後、別の場所に住んでいた祖父母と一緒に暮らしはじめ、お盆にこれを食べるのは三人に」

ミネの手元にあるいなり寿司を見ながらそう言った怜は、顔を上げ、美寧の顔を見て微笑んだ。

「ここ数年はずっと一人だったので、こうしてミネと一緒で嬉しいよ」

美寧の胸がぎゅうっと痛いくらいに締め付けられる。

「そんな顔をしないで?あなたを悲しませたかったわけじゃない」

怜の手が美寧の頬に触れる。
いつの間にか美寧の目尻に溜まっていた涙を、怜は長い指でそっと拭った。

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