耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
***
「これを美寧が作ったのか?」
保冷バッグを開いて中を見せると、マスターは目を丸くして驚いた。
「はい。れいちゃんと一緒に、ですけど」
頷きながらはにかむと、マスターは受け取った袋の中から一つを取り出して目の高さでクルリとそれを回した。
「うまそうだな」
マスターが掴んでいるのは、昨夜美寧が怜と作った塩レモンレアチーズムース。
怜が風呂から上がり、夜のお茶タイムが終わった後、仕上げに取り掛かった。
最初に作ったムースの上から、ゼリーの部分をざっくりと砕いて載せる。そしてその上に塩レモンピールと、庭の隅に植えてあるミントを摘んで飾った。
差し入れ分は蓋のある小ぶりな瓶に詰めたから、少しくらい揺られても漏れたり崩れたりする心配はない。
「良かったらお嬢さんのところへ一緒に持って行ってもらえますか?」
「娘の?」
「はい」
手に持った瓶と美寧の間を視線で往復したマスターは、軽く目を見張ってからその目を柔らかく細めた。目じりに出来る皺がどこかチャーミングだ。
「ありがとな。杏奈も絶対喜ぶ」
礼を言われた美寧は、「はい」と満面の笑みを浮かべた。
【第十話 了】 第十一話に続く
「これを美寧が作ったのか?」
保冷バッグを開いて中を見せると、マスターは目を丸くして驚いた。
「はい。れいちゃんと一緒に、ですけど」
頷きながらはにかむと、マスターは受け取った袋の中から一つを取り出して目の高さでクルリとそれを回した。
「うまそうだな」
マスターが掴んでいるのは、昨夜美寧が怜と作った塩レモンレアチーズムース。
怜が風呂から上がり、夜のお茶タイムが終わった後、仕上げに取り掛かった。
最初に作ったムースの上から、ゼリーの部分をざっくりと砕いて載せる。そしてその上に塩レモンピールと、庭の隅に植えてあるミントを摘んで飾った。
差し入れ分は蓋のある小ぶりな瓶に詰めたから、少しくらい揺られても漏れたり崩れたりする心配はない。
「良かったらお嬢さんのところへ一緒に持って行ってもらえますか?」
「娘の?」
「はい」
手に持った瓶と美寧の間を視線で往復したマスターは、軽く目を見張ってからその目を柔らかく細めた。目じりに出来る皺がどこかチャーミングだ。
「ありがとな。杏奈も絶対喜ぶ」
礼を言われた美寧は、「はい」と満面の笑みを浮かべた。
【第十話 了】 第十一話に続く