耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
アヒージョを摘まみながら白ワインをどんどん空けていく男性陣を横目に、美寧はちびちびと紅茶を飲む。さっき勢いで飲んだ白ワインのせいで頭がふわふわする。
そんな彼女に怜がすぐに気が付いた。

「ミネ?大丈夫ですか?」

「ん……」

「さっき飲んだワインが回ってるんじゃないですか?」

「ん…だい、じょうぶ……」

ふわふわとした頭で答える。
美寧の白い肌はアルコールで薄桃色に染まり、大きな瞳をとろんと半分閉じた姿は、少女のようなあどけなさの中に匂い立つような色香を滲ませている。

「眠いなら先に寝てしまってもいいですよ?」

「……ん、でも」

『お客様がいらっしゃるのに』という言葉が美寧の頭の中に浮かんだ時、高柳の低い声が先に耳に入る。

「俺もそろそろ帰ることにする」

「そうか?」

「ああ。今日は転勤の引っ越しの前に、フジの顔を見に来ただけだからな」

「転勤?」

「言ってなかったか?来月から本社に戻るんだ」

「聞いてない。そうなのか?本社に……」

「ああ。とは言っても、ホールディングスのほうじゃなく、トーマビールの本社への出向だが」

「――そうか」
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