耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「美寧」
眠りながらうなされている彼女に声をかける。何度目かの時、長い睫毛を何度か震わせた瞼がゆっくりと持ち上がった。
開けられたばかりの瞳はどこかうつろ。
黒い瞳にはちゃんと自分の姿が映っているのに、なぜか彼女の中身がここにはいないような気がしてしまう。
美寧の顔を覗き込もうと怜は体をかがめた時、突然伸ばされた手が首の後ろに回されて、ぎゅっと美寧がしがみ付いてきた。
「っ、……ミネ?」
肩が小さく震えている。
彼女の背中に手を回そうとしたその時―――
「好き…………」
「え?」
「……れいちゃんのことが、好き」
小さいけれどはっきりとした声が、怜の耳もとで告げる。
「ミネ……今なんて………」
これまでの『好き』という言葉とはどこか違って聞こえて、怜は思わず訊き返した。
顔を見てもう一度聞きたくて、縋り付くように回された細い腕をそっと外し、覗き込むように首を傾ける。
「ミネ…………」
彼女の瞳は、涙に濡れていた。