耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
***
「三十七度六分。少し熱が高いわね」
美寧から体温計を受け取ったユズキは、そう言うと今度は美寧の首筋に両手を当てる。
「リンパの腫れは……なし」
扁桃腺を診てから心音を聴いた後、聴診器をしまいながら彼女は言った。
「軽い夏バテかしらね。持って来てるお薬があるからそれで様子を見てみましょう」
「はい……」
自室にしている仏間に敷かれた布団の上で、美寧はユズキに向かって頷いた。
美寧の言葉を遮ったのは、来客を告げるチャイムの音だった。そのチャイムを鳴らしたのは、怜の友人で美寧の主治医であるユズキ。
「よかったわ。たまたま出かける前に寄ってみて。昨日ナギが来たって聞いたし」
「ナギさん、先生の所にもいらっしゃったのですか?」
「うん、そう。今朝顔を見せに来たわ。転勤前のご挨拶だってね」
「はい。寂しいですね」
「ふふっ、……きっとまたすぐに会えるわ」
そう言って微笑んだユズキの後ろ、少し空いた襖の間から視線を感じて、美寧はそちらに視線をずらした。
「あ、……」
小さな瞳がこちらを見ていた。
「三十七度六分。少し熱が高いわね」
美寧から体温計を受け取ったユズキは、そう言うと今度は美寧の首筋に両手を当てる。
「リンパの腫れは……なし」
扁桃腺を診てから心音を聴いた後、聴診器をしまいながら彼女は言った。
「軽い夏バテかしらね。持って来てるお薬があるからそれで様子を見てみましょう」
「はい……」
自室にしている仏間に敷かれた布団の上で、美寧はユズキに向かって頷いた。
美寧の言葉を遮ったのは、来客を告げるチャイムの音だった。そのチャイムを鳴らしたのは、怜の友人で美寧の主治医であるユズキ。
「よかったわ。たまたま出かける前に寄ってみて。昨日ナギが来たって聞いたし」
「ナギさん、先生の所にもいらっしゃったのですか?」
「うん、そう。今朝顔を見せに来たわ。転勤前のご挨拶だってね」
「はい。寂しいですね」
「ふふっ、……きっとまたすぐに会えるわ」
そう言って微笑んだユズキの後ろ、少し空いた襖の間から視線を感じて、美寧はそちらに視線をずらした。
「あ、……」
小さな瞳がこちらを見ていた。