耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「んん~っ、おいしいっ!」
ほっぺたが落ちそうになる。
甘めのカスタードをカラメルのほろ苦さが程よく中和する。少し苦めのカラメルは“大人の味”で、美寧は初めて食べた時から怜の作るプリンが大好きになった。
「おいちいね!」
口元にプリンを付けながら笑顔で言った健がとても愛らしくて、美寧は自然と笑顔になる。
「うん。美味しいね。れいちゃんのプリン、ほんとに美味しい」
怜の作ったカラメルプリンは、美寧にとっては想い入れのある一品でもある。
三か月前。美寧が二番目に食べた怜の料理。玉子雑炊の次に食べた玉子料理が、このカラメルプリンだったのだ。
その時のことを思い出すと、美寧は胸の中がじわりと温かくなるのを感じた。
「喜んでもらえて何よりです」
美寧と健の顔をそれぞれ見ながらそう言った怜の瞳も、柔らかく細められている。
(れいちゃんもあの時のこと、覚えてるのかな……)
じっと怜の顔を見つめていると、隣から「ほんと、大事に溺愛中よね」という声が聞こえる。振り向くと涼香がなにかしたり顔で笑っていた。
「それ。ナギにも言っただろう………」
憮然とした怜の声。
「あら?本当のことでしょ?」
それが何か?というような涼香の顔。
気の置けない友人同士の遣り取りを、美寧は黙って聞いていた。