耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー


涼香は「さっきご飯食べたばかりだからプリンはいいわ」と言ってコーヒーだけ飲み、健がプリンに夢中になっている間に美寧に出す薬を揃えていた。
そして、小腹が満たされてご機嫌の直った息子を連れ、藤波家から帰って行った。このまま予定通りショッピングモールに行くらしい。

『お薬、ちゃんと飲んでね』

『みぃたん がんばれ~』

帰り際に主治医に念を押され、天使に可愛らしく励まされた美寧は、彼らが帰ったあとすぐに出された薬をきちんと飲んだのだ。


「ミネ――」

ソファーの上でいつの間にかとろとろと微睡んでいた美寧。
聞こえて来た自分の名前に、「うん、なに?」と短い返事に口を動かすが、怜の耳には「んん~」と唸るような声にしか聞こえない。

「布団へ行きませんか?ここだとちゃんと眠れないでしょう?」

優しい声が耳をくすぐる。
プリンでお腹が満たされたのか、薬が効いているのか。怜の言葉は届いているのに眠りからなかなか覚醒出来ない。

(れいちゃんの言う通り、ちゃんとお布団に行かないと……)

ちゃんと栄養と薬を取って体を休めるのが一番だと分かっているのに、体がいうことをきかない。
なんとか体を起こそうと身じろぎした時―――ふわりと、体が持ち上げられるのを感じた。

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