耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
相変わらず、食べ物を見ただけで浅く寄る眉間。
けれど最初の一口を入れた瞬間、眉間の皺がみるみる消え、ぱぁっと表情が明るく晴れた。
そしてそのまま最後まで食べ続け、空になった容器とスプーンを置いてから彼女は怜を見上げて言った。
『美味しかった~ごちそうさま!』
花が咲いたような笑顔に、怜は釘付けになった。
今思えば、きっとあの時、彼女を好きになったのだろう。
けれど、そうでなくてもきっと彼女を好きになっていた。
ただ、『出会ってしまった』―――それだけなのだ。
美寧の寝顔を見つめながら、怜は瞳を細める。
美寧には美寧の事情があるのだろう。でも、彼女が自分から去って行く以外はたとえどんな事情があろうとも、怜がその手を離すことはない。
『出会ってしまった』からには、手放すことなど出来るわけないのだ。
怜は眠る美寧の額に唇を寄せると、音を立てずに羽のような口づけを落とした。
「ma minette―――俺の子猫。君が望む限り、俺はずっとそばにいる」
【第十三話 了】 第十四話に続く