耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「金平糖はお好きですか?」

「うん………おじいさまがくれたの。私が落ち込んでる時や悲しい時に、よく………」

「そうですか……おじい様はミネのことが大好きだったんですね」

「……うん」

懐かしさに目を伏せる。祖父のことを思い出す時はいつもひどく痛む胸。だけど今は、なぜかその痛みも前ほど辛くない。

「じゃあ俺は、これからずっと紫陽花と金平糖に感謝します」

「感謝?」

「はい」

何故急に怜がそんなことを言い出したのか分からなくて、美寧は首を(かし)げた。

「あの日―――あの雨の日。紫陽花が、あなたを守ってくれたような気がするのです」

「紫陽花が……」

「はい。雨が降っている中で熱を出しているあなたを、紫陽花の茂みが守っているように感じました」

怜の言葉に、胸が切なく疼く。もし紫陽花が自分を守ってくれたというなら、それはもしかしたら祖父かもしれない。

「あの日、紫陽花に守られたあなたを見つけられて良かった」

「れいちゃん………」

「あなたが辛い時は俺がそばにいる。もしも悲しいことがあったら、今度は俺が金平糖をあげる。オムライスも、梅サイダーも、プリンも。みんなあなたの為に作る―――だから」

吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。その瞳に映るのは―――

「だから、ずっと俺のそばにいて―――愛してる。美寧」
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