耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「そろそろ帰りましょうか?日が暮れると海風が冷たくなる」
「うん」
「何か食べてから帰りますか?」
「ううん、おうちに帰る」
「疲れましたか?」
「ううん、元気だよ。でも、帰りたいの、れいちゃんのおうちに。帰ってれいちゃんのオムライスが食べたい」
「ふふっ、ミネは相変わらず玉子料理が好きですね」
「ちがうよ?オムライスも玉子サンドもプリンも……れいちゃんが作ってくれるから大好きになったの」
美寧の言葉に怜は軽く目を見張る。
美寧は、目尻が少し上に上がった黒目がちの大きな瞳を、三日月のように細めて微笑んだ。
「れいちゃん、大好き。おじいさまとは違う好き、よ?ずっとずっと一緒にいてね」
そう言って幸せそうに笑う顔は、見惚れるほど綺麗で。
出会った頃は“子ども”だと思っていたことが、今では信じられないほど“女性”として輝いている。
怜は波の音にかき消されないよう美寧の耳に口を近付けると、そっと囁いた。
「もちろん。ずっとここにいて―――ma minette。愛しい人」
怜の唇が美寧の唇にゆっくりと重なった。
【完】