耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
一週間経った今も、初めてのスマホに中々慣れない美寧。時間をかけてやっと文字を打ち込み終わり、しばし、《《じぃっ》》と画面を見つめる。
画面が切り替わり表示されたものを指でポンと押した美寧が、瞳をキラキラと輝かせた。
「……ねぇ、れいちゃん?」
透き通ったビー玉のような瞳を丸くし、小首を傾げて怜を見上げる。
「なんでしょう?」
「ほら、これ。見て?」
怜は向けられたスマホ画面に視線を落とす。そこには―――
「『minette』って、フランスでは猫の名前に多いんだって。れいちゃん知ってた?』
怜は目を軽く見張った。そしてすぐにその瞳を和らげる。
「はい」
「そっかぁ~れいちゃんは知ってたんだ……」
「ミネはそれをどこかで聞いたのですか?」
「うん。実は今日ね……」
美寧は今日の昼間、アルバイト先の喫茶店であったことを語り始めた。
――――――――――――――――――――
―――――――――――――――
―――――――――――
「ご注文は、オリジナルブレンド二つ、ガトーショコラとメープルシフォン、でお間違いありませんか?」
最近常連になりつつある二人連れのご婦人の注文を確認した美寧は、注文に間違いが無いか復唱し二人に確認してからカウンターに戻ろうと向きを変えた。
けれど背を向けた直後―――
「それでね、ミネ……の、」
「はいっ!」
反射的に返事をして振り返った美寧に、ご婦人二人が目を丸くしている。
美寧と二人の間に、微妙な空気が流れた。
「あ、あの……すみません。今呼ばれたような気がして……」
おずおずとそう言った美寧に、一瞬間を置いてご婦人の一人が「あっ!」と言った。
「あなた、『みねさん』っておっしゃったわよね?ごめんなさい、違うの。あなたのことを呼んだんじゃないのよ。うちの子猫の話をしていたの」
「子猫……?」
「ええ。娘が拾ってきた子猫。『ミネット』って名前なのよ。三毛猫だからどっちかというと『タマ』って感じなんだけどねぇ」
拾ってきた当の本人が、『ミネットがいい!』と言ってきかなかったらしい。
『女の子だけどすごくやんちゃで、大変だけどやっぱり可愛くてね』と嬉しそうに語ってくれた。
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画面が切り替わり表示されたものを指でポンと押した美寧が、瞳をキラキラと輝かせた。
「……ねぇ、れいちゃん?」
透き通ったビー玉のような瞳を丸くし、小首を傾げて怜を見上げる。
「なんでしょう?」
「ほら、これ。見て?」
怜は向けられたスマホ画面に視線を落とす。そこには―――
「『minette』って、フランスでは猫の名前に多いんだって。れいちゃん知ってた?』
怜は目を軽く見張った。そしてすぐにその瞳を和らげる。
「はい」
「そっかぁ~れいちゃんは知ってたんだ……」
「ミネはそれをどこかで聞いたのですか?」
「うん。実は今日ね……」
美寧は今日の昼間、アルバイト先の喫茶店であったことを語り始めた。
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「ご注文は、オリジナルブレンド二つ、ガトーショコラとメープルシフォン、でお間違いありませんか?」
最近常連になりつつある二人連れのご婦人の注文を確認した美寧は、注文に間違いが無いか復唱し二人に確認してからカウンターに戻ろうと向きを変えた。
けれど背を向けた直後―――
「それでね、ミネ……の、」
「はいっ!」
反射的に返事をして振り返った美寧に、ご婦人二人が目を丸くしている。
美寧と二人の間に、微妙な空気が流れた。
「あ、あの……すみません。今呼ばれたような気がして……」
おずおずとそう言った美寧に、一瞬間を置いてご婦人の一人が「あっ!」と言った。
「あなた、『みねさん』っておっしゃったわよね?ごめんなさい、違うの。あなたのことを呼んだんじゃないのよ。うちの子猫の話をしていたの」
「子猫……?」
「ええ。娘が拾ってきた子猫。『ミネット』って名前なのよ。三毛猫だからどっちかというと『タマ』って感じなんだけどねぇ」
拾ってきた当の本人が、『ミネットがいい!』と言ってきかなかったらしい。
『女の子だけどすごくやんちゃで、大変だけどやっぱり可愛くてね』と嬉しそうに語ってくれた。
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