耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
美寧のそんな様子を観察するように怜もじっと見つめ返すと、美寧の頬がほんのり桃色に染まった。
(おっ、)と怜が思った次の瞬間、美寧が口を開いた。
「……大人の人って、……できるの?」
「え?何ですか?ミネ。」」
「大人は、恋人じゃなくても……キスするの?」
「っ、」
怜は目を見開いた。美寧はそんな彼との距離を、更に少しだけ詰めた。
自分がしていることが子どもっぽいことは、自分でもよく分かっている。
きっと怜の周りにいるだろう大人の女性なら、こんなことをしないであろうことも。
もっとスマートに、何でも無かったように振る舞うのが正解なのかもしれない。
平然と。そう。目の前にいる、大人な彼のように。
でもどんなに頭の中でそう思っても、美寧には平然とすることも、何もなかったように振る舞うことも出来ないのだ。
(こんなだから、いつも子ども扱いなんだわ……)
自分の子どもっぽさに哀しくなって、泣きだしそうになった。
ラプワールで、奥さんはそのまま訊いたらいいと言ってくれたけれど、全然上手に出来なかった。
さっきまでの勢いは、自己嫌悪でどこかに消し飛んでしまった。
怜から視線を逸らし、前のめりだった体勢を元に戻そうと体を引く。
けれど元の体勢に戻る前に、美寧の体をふわりと温かなものが包み込んだ。