耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「っ!!」
紫陽花の木と木の根元に、一人の少女が横たわっていた。
「きみっ、大丈夫ですか!?」
慌てて彼女に駆け寄った怜は、横たわった少女に声を掛ける。
雨に濡れぐったりとしたその少女は、呼びかけには答えず瞳を固く閉じている。肩を少し揺すると「う~ん…」と辛そうな唸り声を出したので、意識がないわけではないことに怜はひとまず安堵した。
少女の背中に手を回しゆっくりと上半身を起こすと、くったりとした体は怜の腕に寄りかかるだけで力がない。透き通るほどに青白い肌は、明らかな熱を持っていた。
「このままではまずいな…」
そう呟いた怜は、何とか彼女の意識を呼び起こそうと軽く頬を叩いて見るが、少し唸っただけで目を開けそうにない。
「おい、きみっ。家はどこですか?名前は?」
揺すりながら問いかける怜に、少女は瞳を閉じたまま小さく口だけを開いた。
「…ま…み、ね…」
それだけ口にした彼女は、がっくりと体の力を落とした。
「……ma minette?」
怜は持っていた傘を閉じ、少女の体を両腕で抱え上げた。