旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
目先のことばかり考えて、結婚するということがどういうことを意味しているのか、考えていなかった。

結婚とは、恋人になった先にあるもの。つまりその……一緒に暮らすということは、恋人同士がするスキンシップもするということ……?

大きなベッドを前にドキドキしていると、急に肩に大きな手が触れて心臓が飛び跳ねた。

「キャッ!?」

悲鳴にも似た声を上げて彼を見ると、私を見てニヤニヤしている。

「夜が楽しみだな。今夜が俺たちの新婚初夜だろ?」

し、新婚初夜!? いや、たしかに今さっき入籍を済ませたわけだから、そうなるのかもしれないけれど……。

えっ! 門脇部長は私と恋人がするような行為をするおつもりですか?

想像するとドキドキして、不安にもなる。色々な感情に支配されていると、彼は愉快そうに笑う。

「お楽しみは最後に取っておくとして、まずは芽衣ちゃんの荷物を片づけようか。俺も手伝うよ」

「は、はい……」

返事をしたものの、夜のことを考えると緊張で身体が強張る。どうにか彼の後を追って寝室を出ると、門脇部長は廊下の壁に寄りかかった。そしてなぜかジーッと私を見つめてくる。

「あの、門脇部長……?」

見つめられると、非常に居心地が悪いのですが……。
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