旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
ドライヤーで髪を乾かし終わり、いよいよ浴室から出なくてはいけない。門脇部長は私より先に入浴してもらったから、この後することといえば寝るだけだよね。

結論が出ると、ドアノブに手を掛けたまま動けなくなる。

ここまできて怖じ気づいてどうするのよ。入籍を済ませて門脇部長と夫婦になったんだもの、もう後戻りはできないでしょ? 覚悟を決めないと!

自分に活を入れて私がドアを開けるより先に、外からドアが開いた。

「わっ!?」

外開きのドア。私はそのまま前のめりになる。

「っと、危ない」

倒れる!と思った瞬間、私の身体は彼の腕にしっかり支えられた。

「悪い、急にドアを開けて。あまりに遅いから中で倒れているのかと心配で……」

「すみませんでした」

体勢を戻して慌てて彼から離れた。だけどすぐに門脇部長は私の肩と膝裏に腕を回すと、軽々と抱き上げた。

突然宙に浮いた身体。びっくりして彼の首にしがみつく。

「か、門脇部長!?」

パニックになる私に彼は不機嫌な声で言う。

「俺を心配させたバツ。……このまま寝室に連れてく」

「――え」
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