旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
私を抱き抱えたまま門脇部長は真っ直ぐ寝室に向かう。

「ちょっと門脇部長? ひとりで歩けますから……!」

「暴れたら危ないだろ? おとなしくしてて。それにこれはバツだって言っただろ?」

彼は意地悪な顔でジタバタする私を見た。

こ、これはいよいよ覚悟を決めなくてはいけないのかもしれない……!

器用に寝室のドアを開けると、彼は迷いなく部屋の中を進み、ベッドの端に私を抱いたまま腰掛けた。

門脇部長の膝に座っている状態の私は、パニック状態。背中に腕が回されていて逃げることもできない。

緊張が最高潮に達する中、大きな手で私の頬に触れると甘い声で囁いた。

「好きだよ、芽衣」

「名前……」

いつものように『芽衣ちゃん』じゃなかった。

目を丸くさせる私を見て、門脇部長は自分の額を私の額に押し付けた。

「結婚したんだ。呼び捨てにしてもいいだろ? そうだ、芽衣もいい加減名前で呼んでよ。いつまで俺のことを『門脇部長』って呼ぶつもり?」

「それはそうですが、急には……」
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