旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
だって一年以上『門脇部長』と呼んでいたのに、いきなり呼び方を変えるのはなかなか難しい。
それなのに彼は額を離し、不服そうな顔で私を見る。

「俺は今すぐに呼んでほしいんだけど。……ほら、『俊也』って言ってみて」

私の背中に回っている腕の力がより一層強まる。これは呼ばないことには、離してくれなそうだ。

それに彼の言う通り、いつまでも『門脇部長』と呼ぶわけにはいかないよね。

自分に言い聞かせ、思い切って言った。

「俊也……さん」

投げやりで呼んだ私に、彼は満足そうに微笑んだ。

「ん、なに? 芽衣」

甘い声で言うと、頬や額に次々とキスを落とす。

「わっ!? ちょっと門脇部長!?」

つい、いつものクセで言ってしまうと塞がれた唇。

「んっ……」

深い口づけに声が漏れてしまう。

「早く慣れて。名前で呼ぶこと」

キスの合間に言いながら甘く痺れるキスをされ、ドキドキしすぎて胸が苦しくなる。けれど次第に私の思考も融かされ、なにも考えられなくなる。
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