旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
自分のことでいっぱいいっぱいだったけれど、今になって彼のことが心配になり、恐る恐る尋ねた。

「あの、俊也さんはいいんですか? このまま私と一緒にいて。……本当に私のこと、その……好きなんですか?」

さっき、自分と同じ気持ちになるまで待つって言ってくれたよね? 『俺が芽衣のことを好きなように』とも言っていた。でも正直、好かれている自信がない。

私に俊也さんに好かれるような魅力があるとは、思えないから。

不安な気持ちで心が埋め尽くされていく中、俊也さんは私の背中に優しく触れながら話し出した。

「以前にも話したが、昴に言われて芽衣を目で追うようになったって言っただろ?」

「……はい」

彼のぬくもりに包まれながら、話に耳を傾けた。

「いつだったかな、芽衣が発注ミスをして誰もいないオフィスで落ち込んでいたことがあったんだ。ひとりにさせるべきだと思ったが、心配でたまらなくて声を掛けようとした時、急に芽衣は大きな声でこう言ったんだ。『泣いたら負けでしょ!?』って」

当時のことを思い出したのか、俊也さんはクスクスと笑うものだから、かあっと顔が熱くなる。
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