旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
好きと愛は変わらない!と言い聞かせても、やっぱり違いが気になり、ふとした瞬間に考えている。

「……どうして俊也さんは、私のことを好きになってくれても、愛してはくれないんですか?」

静かな室内にポツリと漏れた声に、じわじわと身体の熱が上昇していく。

俊也さんが熟睡しているとはいえ、私ってばなんてことを聞いているの? こんなこと、起きている彼には絶対に聞けない。

いまだに規則正しい寝息を立てる彼の寝顔を見つめた。

「このままあなたを、好きになってもいいんですか……?」

答えは返ってこないとわかっているからこそ、聞きたくなった。惹かれるがまま素直に彼を好きなれるか不安なのは、あの言葉があるから。

でも今さら聞けない。だって俊也さんは、私のことを好きだと言ってくれた。今だって私の気持ちも私との関係も、大切にしてくれているのがわかるから。

彼に対する想いに悩んでいる間も、時間は流れていく。気づけば起こしにきてから十五分が過ぎていた。

「大変! 早く起こさないと」

俊也さんの身体を揺すり、起こしにかかる。
< 116 / 262 >

この作品をシェア

pagetop