旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「俊也さん、起きてください。間に合わなくなりますよ?」

「んー……あとちょっと……」

掠れた声で言うと、すっぽり布団を被ってしまった。

「あ、もうだめですよ起きないと」

俊也さんって意外と朝が弱い。簡単に起きてくれない時も多々あるから、けっこう困る。

何度身体を揺すっても起きない彼に、強硬手段に出た。

「いい加減、起きてください!」

被っていた布団を剥ぎ取ると、やっと俊也さんは目を覚ましてくれた様子。

「……芽衣? もう朝?」

「はい、朝なので起きてください。ご飯の準備しておきますね」

布団を戻して踵を返した瞬間、思いっきり腕を引かれベッドに引きずり込まれた。

「キャッ!?」

あっという間に組み敷かれ、すっかり目の覚めた彼が意地悪な顔で私を見下ろした。

「おはよう、芽衣」

「……おはようございます」

咄嗟に挨拶を返したものの、すぐに我に返る。

「もうなにしているんですか? 早く準備しないと遅刻しますよ?」

ドキドキしていることを悟られないよう、平静を装う。
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