旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「あぁ。恋人がいないなら、親が決めた相手と結婚させられる。……最初はそれでもいいと思っていたんだけど、これから先の長い人生を共に過ごすんだ。少しでも好きになれる相手と結婚したいと思うようになった」

『少しでも好きになれる相手』……? 門脇部長の中で私はそういう存在なのだろうか。

トクン、トクンと胸の鼓動が速くなる。

彼は私の手を握りしめたまま見上げた。

「今まで散々遊んできたけど、結婚したら絶対に浮気はしない。……どう? 俺と結婚してみない? 芽衣ちゃんとなら毎日楽しく過ごせると思うんだ」

「門脇部長……」

本気なんだよね? 門脇部長は本気で私に結婚しようって言っているんだよね?

ずっと混乱していたし、こんな話あり得ないと思っていたけれど……。私には結婚したい理由がある。

それに門脇部長なら理想の相手だよね。彼となら普通の暮らしができる。それに、私が仕事を続けたいと言っても応援してくれると思うもの。

でも本当にいいの? こんな簡単に結婚を決めちゃっても。

いや、だけど結婚相談所で相手を見つけようとしていたことと、そんなに変りないといえばそうなるし……。

グルグルと思いを巡らせていると、彼はクスリと笑った。
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