旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
でも家に看病してくれる誰かがいるって、やっぱりいいな。……アイスを食べたいだなんて、ワガママだったかな。でも食べたいものがあればって聞いてくれたし……。

考えるものの、すぐに頭が回らなくなり瞼を閉じた。するとすぐに深い眠りに落ちていく。

次に目が覚めたのは、何度も私の名前を呼ぶ彼の声だった。

「……ん」

ゆっくりと目を開けると、心配そうに私を見る彼が視界いっぱいに広がる。

「俊也、さん?」

私が目を覚ましたのを確認すると、安心した顔を見せた。

「よかった。……大丈夫か? さっきより熱が上がっている。苦しそうにしていたから、どこか痛いのかと心配していたんだ」

いつになく余裕のない俊也さんに、戸惑いを隠せない。

だって私はただ、風邪を引いただけだよ? 苦しそうにしていたのは熱があるからなのに。

だけど彼は私の手をギュッと握りしめ、額に当てた。

「お願いだから、心配させないでくれ」

震える声で言われた言葉。

ちょっと俊也さんってば、心配しすぎじゃない?
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