旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「まぁ、芽衣と結婚したんだ。ベタ惚れじゃなかったら許さなかったけどな。……出張の三日前に連絡してきた時は、笑ってしまったよ。あの俊也が芽衣にここまで過保護になっているとは、少々意外だったからな」

それはきっと、私と結婚する前の彼の女性関係を言っているんだよね?

「どうだ? 俊也はちゃんと芽衣に優しくしてくれているか?」

私の様子を窺いながら聞いてきたお兄ちゃんに、照れくさくなりながらも頷いた。

「……うん。すごく優しいよ。この前もね、私が風邪を引いちゃった時に一晩中看病してくれたの」

一晩同じ室内で過ごして、俊也さんに風邪がうつらなくてホッとした。

その時も俊也さんらしく『うつるようなことは、いっさいしていないからな。治ったらたくさんキスしよう』なんて言っていた。

そのあと、彼に宣言通り私の風邪が完治したら、唇が腫れるほどキスされちゃったけど。

その時のことを思い出し、ひとり恥ずかしくなる。するとお兄ちゃんは真剣な面持ちで聞いた。

「芽衣。……お前は今、幸せか?」

「……うん」

すぐに答えることができた。だって今の私は幸せだから。
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