旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
最初は普通の結婚ができれば、誰でもよかった。久我の家とは関係のない人の元へ嫁げば、幸せになれると勝手に思い込んでいた。

でも俊也さんにプロポーズされて、考え方が変わった。彼の言う通り、それは逃げているだけだって。

それに結婚後もこうして心配してくれる家族がいるのに、どうして私は逃げることばかり考えていたんだろう。

大切なのは私自身が、どうやって幸せな道に進むかだよね。

「大変だけど好きな仕事を続けることができて、その……好きな人と結婚することができて、私は幸せだよ」

「芽衣……」

まだ本人に好きと伝えていないから、ちょっぴり照れる。でも心配してくれているお兄ちゃんには、正直な気持ちを伝えたかったから。

「俊也は俺に代わり、芽衣をすべてのことから守ってくれそうか……?」

「えっ?」

瞳を揺らし聞かれた質問に心が揺れる。

もしかしてお兄ちゃん、私が一度だけ出席した社交の場で、心ない言葉を言われたことを知っている? 話していないのに……。
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