旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「そんなあいつだから、俺は芽衣の結婚相手として認めたんだ。……それに俊也は一途だからな」

意外な話に目を瞬かせる私に、お兄ちゃんはクスリと笑った。

「あぁ、一途なやつだ。……だから芽衣が幸せだと感じているなら、なにも心配することはないな。父さんと母さんも安心するだろう」

両親の話にドキッとなる。

だってお母さんが安心するなんて、あり得ないでしょ? 最初から私のことなんて、なにひとつ心配などしていないはず。

膝の上でギュッと手を握りしめると、お兄ちゃんが思い出したようにカバンの中からある紙袋を取り出した。

「そうだ、母さんに頼まれていたのにすっかり忘れてた」

そう言いながら私に差し出されたのは、よく飲んでいる好きな紅茶専門店の袋だった。

「これ……?」

お兄ちゃんと袋を交互に見てしまう。

「母さんから。俺が家に様子を見に行くと聞いて芽衣が好きな紅茶を、わざわざ買いに行ったみたいなんだ」

「嘘、お母さんが?」

信じられなくて瞬きさえできなくなる。だってお母さんがわざわざ私のために買ってきてくれたなんて……そんなこと、あるわけないよ。
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