旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
お母さんのことに関しても私、一度も向き合おうとせず逃げてばかりだった。

いい機会なのかもしれない。一度、お母さんとふたりで話をするべきなのかも。俊也さんと結婚した以上、これから先もなにかと顔を合わせる機会があるはずだし。

「あの、お兄ちゃん」

「ん? どうした?」

「お母さんに紅茶、ありがとうって伝えてくれる?……それと今度、帰った時に話をしたいって」

「芽衣……」

思い返せばお母さんが私のことをどう思っているのか、一度も聞いたことがない。勝手に嫌われていると思っていたけれど……本当は違った?

わからないからこそ、ちゃんと聞いてみたい。
それに例え嫌われていたって、今の私には俊也さんがいる。彼の存在で私は強くなれるから。

「わかったよ、母さんに伝えておく」

次の瞬間、思いっきり髪を撫でられた。

「わっ!? ちょっとお兄ちゃん?」

乱れた髪を整えながらジロリと睨むと、お兄ちゃんは白い歯を覗かせた。

「どれ、俊也もいないし飯でも食いにいくか」

「え、いいよ私が作るよ」

立ち上がったお兄ちゃんに言うと、目を見開いた。
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