旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
こうなるともう後戻りできない気がして怖くなり、決死の思いで昨夜、玲子に事の経緯を説明したのだ。

だけど話が話だけにすぐには信じてもらえなかった。『私を驚かせようとしたって、そうはいかないんだからね』なんて言われる始末。

玲子がすぐに信じられなかったのにも頷ける。

結婚にまったく興味がなく、絶対に社内の女性とは関係を持たないと有名な門脇部長のことを知っていれば、誰だって信じられないはずだ。……現に私も最初はなかなか信じられなかったし。

でも悲しいかなすべて真実で、私は切羽詰まった状況下にいる。なんせ明後日には門脇部長と私の実家に挨拶に行く予定なのだから。

「ねぇ、玲子。私どうしたらいいかな。そりゃ今すぐにでも結婚したいけど、相手が門脇部長ってどうなの?」

「いや、そんなの私に聞かれても困るから!」

小声でボソボソと話を続ける。

「プロポーズを受けた芽衣が悪いんでしょ?」

「だってなんかあの時は婚活相手に振られた直後で、色々と切羽詰まっていたというか……。現にほら、私も普通の結婚ができるなら、正直誰でもいいと思っていたし、それなら彼でもいいかなって思えて……」
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