旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
玲子の言う通り、同じ理由でこれまでいい感じだった婚活相手から振られ続けてきた。
だからこそ今、非常にまずい状況なんだよね……。

「あのさ、玲子」

「ん? どうした?」

最大の悩みを彼女に打ち明けた。

「実はその、門脇部長にはまだ言っていないんだよね。……家の事情を」

最後にボソッと重要なことを言うと、玲子は目を丸くさせた。

「言っていないって……え? でも明後日、芽衣の実家に挨拶に行くのに?」

「……うん。言うタイミングを逃しちゃって」

へらっと笑いながら言うと、玲子は頭を抱え込んだ。

「あんた、なにやってるのよ。どうして肝心なことを言わないかな」

まさにその通りだと思う。だけど私にも言い分はある。

「私だって何度も話そうとしたよ? でも言うタイミングを与えてもらえなかったというか……。話をしようものなら、すぐに遮られちゃうんだよね」

あの日から門脇部長は、私に有無を言わさない。実家への連絡も彼がいる前でさせられたし。
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