旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
『愛してやれなくて、すまない』
「大丈夫か? 芽衣」
「……うん、ごめん」
お兄ちゃんからティッシュを受け取り、涙を拭った。
姫乃さんは生きているとばかり思っていた。付き合っていたけど、なにかあって別れて、それでも俊也さんは忘れられずにいるのだと。
「姫乃が亡くなった後の俊也は、見ていられないほど落ち込んでいたよ。一ヵ月間家に引きこもり、会いに行っても一言も口を開いてくれなかった。あとを追いかけない状況だったと思う。……毎日顔を見に行っていたが、俺にはなにもできることがなく、ただ無力だった」
当時のことを思い出したのか、お兄ちゃんは拳をギュッと握りしめた。
「姫乃の手紙を読んで前向きになった矢先に、家族と仲違いし、それからだ。俊也の女性関係が激しくなったのは。でも俺は姫乃を失くした直後のあいつを知っているから、苦言を呈しながら今の方がマシだと思った。明るくなり、仕事も楽しいって言っていたから」
「……そっか」
きっとお兄ちゃんも友人であり、親友の彼女が亡くなったんだ。心を痛めたはず。それなのに俊也さんの気持ちに寄り添ってきたんだ。
「……うん、ごめん」
お兄ちゃんからティッシュを受け取り、涙を拭った。
姫乃さんは生きているとばかり思っていた。付き合っていたけど、なにかあって別れて、それでも俊也さんは忘れられずにいるのだと。
「姫乃が亡くなった後の俊也は、見ていられないほど落ち込んでいたよ。一ヵ月間家に引きこもり、会いに行っても一言も口を開いてくれなかった。あとを追いかけない状況だったと思う。……毎日顔を見に行っていたが、俺にはなにもできることがなく、ただ無力だった」
当時のことを思い出したのか、お兄ちゃんは拳をギュッと握りしめた。
「姫乃の手紙を読んで前向きになった矢先に、家族と仲違いし、それからだ。俊也の女性関係が激しくなったのは。でも俺は姫乃を失くした直後のあいつを知っているから、苦言を呈しながら今の方がマシだと思った。明るくなり、仕事も楽しいって言っていたから」
「……そっか」
きっとお兄ちゃんも友人であり、親友の彼女が亡くなったんだ。心を痛めたはず。それなのに俊也さんの気持ちに寄り添ってきたんだ。