旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
いよいよ泣きそうになり、勢いよく立ち上がった。だけど俊也さんは俯いたまま。

できるのなら、姫乃さん以上に愛されたかった。でもそれ以上に彼のことが心配。

俊也さんはこれから先もずっと、この世にいない姫乃さんを想い続け、ひとりでいるつもりなの?

それは姫乃さんの願いではなかったはず。どうか、彼女以上に愛せる人と出会ってほしい。……なんて、今の私には到底言えない。伝える前に泣いちゃいそうだもの。だって私も愛されたかったから。

感情は昂ぶり、涙が零れ落ち、私はなにも言わずマンションを後にした。

俊也さんが追い掛けてくることはなかった。
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