旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「でも芽衣は門脇部長のこと、まだ好きなんでしょ? それなのに……」

そこまで言って彼女は言葉を詰まらせた。
私のためを思って言ってくれているのが伝わってくる。だからこそ玲子には、包み隠さず話したかったんだ。

「この前も言ったけど、好きだから別れる道を選んだの。だって好きな人にはどんなに頑張っても勝てない人が、心の中にいるんだよ? そんなの辛いだけでしょ?」

「それはそうだけど……」

玲子は納得いかないと言うように唇を尖らせた。

「もしかしたらこの先、ずっと一緒にいたら門脇部長の気持ちが変わるかもしれないじゃない? その可能性だって完全にないとは言えないでしょ?」

必死に私を説得する玲子には申し訳ないけど、頷けない。

「でも気持ちが変わらない可能性もあるでしょ? ……僅かな望みにかけてこの先も一緒にいたら、私は今よりもっと彼のことを好きになると思う。それと同時に、姫乃さん以上に私を愛してほしいと強く願ってしまうと思うの。……そうなったら私の存在が、俊也さんを苦しめるだけだと思わない?」

感情的になることなく伝えると、玲子は口を結んだ。
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