旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
【俊也、結婚おめでとう。この手紙を読んでいる時、俊也は何歳なんだろう。私が生きたかった未来を楽しんでいますか?】

そんな文面から始まった手紙に、泣きそうになる。

【私以上に好きな人と巡り合ってくれたことを嬉しく思います。でもきっと俊也のことだから、私を忘れるわけにはいかないって真面目に考えていない? それは違うからね。俊也、もう私のことは忘れていいんだよ。私は俊也の中で永遠に生き続けたくないの。あなたと一緒に人生を歩みたかったんだから。そんな私はきっと死んでも、俊也の隣にいると思う。これからふたりで過ごすはずだった楽しくて幸せな人生を、愛する人と共に私に見せて。それが私の最期の願いです】

視界がぼやけ、涙が頬を伝っていく。

そして最後にPS……と綴られていた言葉。

【私たち、まだまだ子供だけどお互いの気持ちは本物だったよね。だからお願い。お揃いのペアリングを、海に投げてください。永遠に海を彷徨って、私たちが愛し合った日々が消えることのないように。そして俊也は新たな幸せを掴んで】

涙を拭い封筒を逆さにすると、中には姫乃に送った指輪が同封されていた。

「姫乃っ……」

涙はとめどなく溢れ、胸がはち切れそうになる。
< 229 / 262 >

この作品をシェア

pagetop