旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
姫乃はわかっていたんだな、大人になった俺の気持ちを。
どこかで俺、姫乃を忘れるのを恐れていた。もうこの世にいない姫乃は、俺の中で生き続けている。それがいなくなってしまったら……?
いつか絶対に、私以上に好きになれる相手と出会ってほしいと、姫乃の手紙に書かれていた。でも心のどこかでずっと、彼女に悪い気がしていたんだ。
生涯愛する女性は姫乃だけだと誓ったのに、その誓いを破ることになるから。
でもそんなの、間違っていた。今の俺を見たら姫乃は幻滅する。喜ぶわけがない。
俺だって本当は姫乃と一緒に未来を生きたかったよ。隣で笑い合って、過ごしたかった。
「あの子のことを覚えている人間は私と主人だけで充分。……俊也君はどうか姫乃の分も幸せになって。あなたが幸せになることが、姫乃にとってなによりの供養になるから」
「……は、い」
指輪を握りしめ、何度も頷いた。
次の休日。姫乃の最期の願いを叶えるため、俺はひとり近くの海岸を訪れていた。
俺の手にはふたつの指輪。太陽に照らされ、キラキラと光り輝いている。
どこかで俺、姫乃を忘れるのを恐れていた。もうこの世にいない姫乃は、俺の中で生き続けている。それがいなくなってしまったら……?
いつか絶対に、私以上に好きになれる相手と出会ってほしいと、姫乃の手紙に書かれていた。でも心のどこかでずっと、彼女に悪い気がしていたんだ。
生涯愛する女性は姫乃だけだと誓ったのに、その誓いを破ることになるから。
でもそんなの、間違っていた。今の俺を見たら姫乃は幻滅する。喜ぶわけがない。
俺だって本当は姫乃と一緒に未来を生きたかったよ。隣で笑い合って、過ごしたかった。
「あの子のことを覚えている人間は私と主人だけで充分。……俊也君はどうか姫乃の分も幸せになって。あなたが幸せになることが、姫乃にとってなによりの供養になるから」
「……は、い」
指輪を握りしめ、何度も頷いた。
次の休日。姫乃の最期の願いを叶えるため、俺はひとり近くの海岸を訪れていた。
俺の手にはふたつの指輪。太陽に照らされ、キラキラと光り輝いている。